開業医のための労務トラブル対策 11.医師とのトラブルの実例

今までクリニックで起こった医師とのトラブルについて実例を挙げながら、どのような教訓を得たかについて説明します。

トラブルとなったスタッフのプライバシーもあるため、匿名かつ細かい点は変えており、あくまでフィクションになることご了承ください。

優秀な医療事務を引き抜いて開業

優秀な医療事務を誘い、優秀ではない医療事務には声をかけないという周到さでした。優秀な医療事務だったので、「条件もうちよりもよくするから」と言われたそうです。

そのスタッフだけ給料を上げて、他のスタッフはそのままというわけにもいかず、納得はできませんでした。それだけでなく、別の場所で開業することを伝えて患者さまを誘導する始末。色々開業支援の情報も教えてあげたのに、残念な気持ちになりました。

クリニックを開業していると、恩を仇で返されることはあります。その開業した医師も自分が開業してみて初めて、苦労をわかるものです。いや、世の中色々な考えがあるから、それすら感じないかもしれません。開業するなら、気持ちよく送り出してあげたいものです。

不倫して医師の奥さまに
訴えられてしまった

誰も気づかぬうちに、男性医師と女性看護師が不倫をしていました。最初のうちは、「不倫がバレてしまったら、私が辞める」と、女性看護師は男性医師に言っていたようです。

ところが、奥さまに不倫がバレて、弁護士を通じて書面が送られてきても、クリニックを辞めることなく、ついに医師の奥さまから裁判になってしまいました。もしかしたら、意地になってしまったのかもしれませんが、辞めてれば裁判にならなかったのかもしれません。

結局、100万円くらい看護師が支払ったそうです。不倫したくらいでは、懲戒解雇できないので、巻き込まれた病院としては悲劇です。

クリニックの近くで
競合クリニックを開業

その医師とは、いわゆる円満退職でしたが、次の職場については、遠方であるということもあり教えくれませんでした。関係も良好で、特に嫌がらせとかするわけでもないのに、「立つ鳥跡を濁さず的な流儀でもあるのかな?」くらいにしか思っていませんでした。

半年後、「近くで開業したクリニックを見てみると、ホームページに、その医師が院長として名前が書いてあるのではないですか!」近くで開業してしまい申し訳ないという、良心の呵責があったのかもしれません。

契約書には、近隣5㎞以内には開業しないことを契約書に明記しておくべきでした。まぁ、契約違反しても、裁判しないといけないので、意味はないかもしれませんが、抑止力にはなるでしょう。

精神病で、
毎日5回くらいクレームあり

医師紹介会社からご紹介いただいたドクターでした。面接の時は、「緊張したせいか寡黙な先生だなぁ」とは感じていましたが、雇われ院長を5年以上やっていたこともあり、大丈夫だと思い込んでいました。

まさか精神病だとは思いませんでした。友人の精神科医に相談したら、おそらく統合失調症だろうとのことでした。洗い場で手を洗いながら、独り言を言っていて、日に日に症状が悪化してくる始末。休憩時間は耳栓をしていました。医療ミスはないものの、患者さまへの対応も非常に悪く、1日5件くらいクレームがありました。

退職をしていただくにも不当解雇になる可能性もあり、すぐに辞めてもらうわけにはいかず、逆に患者さまを見ないよう、配置転換することもできませんでした。看護師を随時つけて、どうにかトラブルが大きくならないようにしました。紹介会社も気づかなかったようです。少しでも怪しいと感じたら、トライアル勤務をしてもらうべきことを学びました。

他のドクターに
クリニックの文句ばかり

他のドクターに、「(時給1万円で)給与が安い」「(1日平均70人くらいで)こんなにこき使われて…」など、しまいには「先生はいつ辞めるのですか?」と煽動していました。退職する前は、1ヶ月あたり数日は休む始末で、他のドクターも呆れていました。

看護師もそうですが、自分のやる気のなさによって、診療に穴を開けるだけでなく、他の医師に悪影響を及ぼすのだけは止めてもらいたいものです。医師同士の横の交流をおこなうことが良いことばかりではないと学びました。定期的にコミュニケーションを取り、そういう動きがあれば、早めに察知して、なかなか大変ですが予防しないといけません。

抗不安薬中毒で
休みの日に電話がくる恐怖

メンタルな不安定で、抗不安薬を飲んでいたドクター。休みの日に、開放感のせいか、お酒を飲んで脱抑制状態になって、電話をかけてきます。

「院長!給料もっと上げろよ」「他の医師にひいきしているんじゃねぇよ!」など、それはそれはヒドいものでした。酔って暴言を吐くというよりは、まるで麻酔後のせん妄状態のようでした。

診療日はちゃんとしていて、処方された抗不安薬を多めに飲んではいけないという法律はないので、解雇するわけにもいかず、お願いだから、「俺の平穏な休日を乱さないでくれ」と祈るばかりでした。

ちなみに、診療日に「先生お電話のこと、覚えていますか?」と聞いてみたら、「ちゃんと覚えています」と少しバツが悪い感じでした。

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