私は東京都板橋区の公立小学校から中学受験して、中高一貫校の私立城北中学校に入学しました。その後、内部進学した私立城北高校から大学受験して帝京大学医学部に入学し、医師国家試験に合格して医師になった経緯があります。
父は東京大学医学部卒業、母は東京女子医科大学医学部卒業、両親共に医師をしている家庭に生まれました。
母は教育熱心で、小学5年生くらいから中学受験塾に通うようになり、本格的な勉強が始まります。
兄は勉強が非常に得意で、当時は筑波大学附属駒場中学校に通っていて、私は四谷大塚で偏差値50台中盤から50台後半くらいの成績で推移し、第一志望としていた駒場東邦中学校には毎回E判定で成績は思うように上がりません。
今でもよく覚えている恥ずかしい話としては、国語のテストで悪い点数を取ってしまったとき、答案用紙を便器に流して詰まらせてしまったこともあります。
小学校がある日は夜遅くまで、夏休みは夏期講習と、嫌いだった勉強を頑張りはしましたが、親の期待に応えることができず、この苦しみはいつまで続くのだろうと子供心に思ったものです。
中学受験が1つ目のトラウマです。
どうにか第二志望の城北中学校に合格して、受験からの解放感を味わったのは束の間、中学校の授業が始まり、一から英語や中学受験算数とは異なる数学を勉強し始めて、今まで頑張ってきた中学受験はなんだったんだろう?と、愕然とした記憶があります。
中学3年生くらいまでは、自分の努力と塾や家庭教師のおかげで選抜クラスに入るほど成績は良かったものの、学習内容が難しくなる高校1年くらいから徐々に成績は下がり始め、頑張り続けていたにも関わらず学校内順位は悪くなるばかりでした。
頑張りが報われないことに自分のプライドは傷つき自己肯定感は失われ、年齢的にも親にも反発したい気持ちも強くなり、次第に学業に背を向けアルバイトに逃避するようになります。
アルバイトに明け暮れていた高校2年のときは、ほとんど勉強することなく大学受験を挫折しかけました。
高校3年になって心を入れ替えて猛勉強を開始しますが、全落ちするのではないかという不安と共に、思ったように成績が上がらない焦りで、本当に苦しい思いをしました。
大学受験が2つ目のトラウマです。
今でも中学受験と大学受験のテストで良くない点数を取る悪夢を見るくらいですから、一生の心の傷とまではいかなくても、脳内の奥底に深く刻まれた苦しい体験といえるでしょう。
受験が人格形成においても大きな影響を与えました。

社会人となって、定期的に悪夢は見るものの受験と接する機会はなくなりましたが、子供が成長するにつれて子供の教育について考えるようになります。
子供には同じような経験をして欲しくないという想いと、子供には勉強して高学歴になって欲しいという相反する想いが交錯する中で、子供を過酷な受験戦争に送り込むのであれば、まずは自分が勉強して戦場をよく知ることが大事であろうということで、教育について勉強を開始することにしました。
まだ子供も小さいですし、いまだに教育については発展途上の勉強中であり、手探りの状態ではあります。
私は受験の専門家でもありませんし、塾講師をしたこともありませんが、書籍、ホームページ、ブログ、YouTubeなどの媒体だけでなく、塾講師や受験コンサルタントなどから直接話を聞いて情報収集してきました。
私が受験した頃と比べて大きく変化したこととしては、大学受験において一般受験の割合が減り、それ以外の入試方式(指定校推薦・公募推薦・総合型選抜)の割合が増えていることです。そのため、塾への課金ポイントや受験戦略も変化しています。
2025年には、塾講師経験のあるライターさんと協力して、受験本を出版することにしました。
今回、塾講師でもない開業医の私が書籍を出版したいという気持ちになったのは、やはり子どもの教育について考えたことがきっかけです。
受験で大変苦労した私としては、「子どもを苦しませたくない」という気持ちと、「将来につながる教育を受けさせたい」という気持ちが相反する中で、子どもが生まれてから今まで最適な受験ルートを模索し続けてきました。
ちなみに、「子どもを御三家の中学に入れたい」とか「東大に入れるための勉強法知りたい」とか、そういった最難関校を目指すための受験戦略を書いている本ではないことは、あらかじめお伝えしておきます。
「中学受験と高校受験のどちらを選ぶべきか」「塾に課金するのはいつがいいのか」など、教育の節目で悩む家庭に、子どもの能力ごとに就活に向けての最適な受験ルートを戦略的に解説しました。
関係者でないからこそ受験業界に忖度することなく、塾講師が言えない真実を書いたつもりです。
個人的には、「中学受験して大学受験するのが当たり前」と信じて疑わない高学歴な親にも、読んでもらいたい内容になります。
東京では中学受験が過熱していると言われており、文教地区では半分くらいの子どもが中学受験しています。
本当に、半分くらいの子どもが受験して中高一貫校に進学するべきなのでしょうか。
中高一貫校に通うことの大きなメリットとしては、大学受験に向けた英語と数学の先取り学習にあります。
高校3年生までに英語と数学を終わらせるところを、高校2年生までに終わらせる先取り学習にきちんとついていけるのは、「四ツ谷大塚偏差値でおおよそ60以上の中高一貫校に合格できるような勉強が非常に得意な子どもだけ」という考え方もあります。
東京に住んでいて通える範囲内で早稲田大学・慶應大学よりも明らかに難易度が高いのは東京大学・東京科学大学・一橋大学だけ(私立医学部は除く)です。一人暮らしすると家賃や光熱費で4年間400万円前後はかかるため、東京に住んでいる場合、自宅から通えない地方の国立大学は、自宅から通える都内の私立大学よりも費用が高くなるので、東京大学を目指せるようなごく一部の子ども以外は国立大学を受験する理由がありません。
たしかに、中学受験して中高一貫校に入学して先取り学習についていけるなら、東京大学・東京科学大学・一橋大学・早慶理系には進学できる確率は上がるでしょうが、子どもについていける能力があるかは別の話になります。
四ツ谷大塚偏差値でおおよそ60未満の場合、先取り学習にきちんとついていけない確率が高く、大学受験では東京大学・東京科学大学・一橋大学・早慶理系に一般受験で現役合格できる可能性はかなり低くなります。
そのため、中学受験はせずに一般受験だけでなく指定校推薦・公募推薦・総合型選抜なども選択肢にしながら高校を選び、その子どもに合った受験戦略を練った方がいいのではないでしょうか。
現実的には、一般受験の場合、文系なら3科目の早慶文系、理系なら3科目の東京理科大学理系レベルが最も難易度の高い目標になります。
ちなみに、理系で早慶理系レベルが目標にならないのは、早慶理系レベルは東京大学理系の滑り止めにはなるものの、東京科学大学理系の不合格者における合格率は1割前後と、滑り止めにはならないほど難易度が高いからです。
子どもの時間だけでなく、親のお金と時間を費やしてまで中学受験すべきなのは、多く見積もっても都内の公立小学校に通う小学生の中でも、せいぜい10人に1人くらいの勉強が非常に得意な子どもだけと考えています。
しかも、私立文系の最高峰の早慶でも文系でしたら受験に数学がない(文系を数学で受けるパターンを除く)ため、数学の先取り学習をする必要がなく、中高一貫校に入学するメリットが減る、いや、数学を先取り学習する負担が大きくデメリットとなるのではないでしょうか。
中学受験する家庭は、無意識のうちにも国立大学もしくは私立大学理系を一般受験で進学することを想定しているのかもしれません。
こちらは中学受験の塾講師は絶対に言わない話でしょう。
もっというと、そもそも理系の子どもにとっては大学受験が最大の課金ポイントではない可能性すらあります。
なぜなら、理系の大学に進学した場合、大学院受験するため、他大学から東京大学・東京科学大学・早稲田大学・慶應大学の大学院にロンダリングすることができるからです。
指定校推薦で中堅私立大学に入学して大学院受験するのがコスパ・タイパはいいでしょう。ちなみに、東京大学の大学院は4割ほどが他大学出身者です。
こちらは大学受験塾の講師は絶対に言わない話でしょう。
「中学受験は親の受験」という塾の宣伝文句を信じて膨大なお金と時間を費やして、どうにか能力よりもレベルの高い中高一貫校に入学することができたとしても、大学受験のスタート地点に立っただけです。
学習進度についていけず、深海魚までにはならないにしても6年間低空飛行となってしまったら、子どもは自信をなくし自己肯定感が失われ続けて、人格形成にまで大きく影響を与えてしまうことでしょう。
「地獄への道は親の愛情で舗装されている」という言葉は私の造語ですが、親が子どもを思うあまりに良かれと思ってしたことも、方向性を間違えると子どもを地獄に導いてしまいかねないのです。
子どもをそのような危険から回避するリスパ(リスクパフォーマンス)の視点からも、総合的に受験ルートを判断するべきかもしれません。
学校で同じ授業を受けていても、テストの成績が良い子供と悪い子供がいます。良い子供と悪い子供はなにが違うのでしょうか?多くの子供を教えた経験のある教師や塾講師なら必ず気づいていることですが、世の中で考えられている以上に、子供によって大きな能力差があります。受験はスポーツと同じように勉強には向き不向きがあり、いくら塾に通ったり家庭教師をつけたりしてお金をかけても、子供の能力差が成績に大きく影響します。塾と学校が蜜月の関係で作り出している受験産業のマーケティング戦略により、「塾に通うようになったら短期間で逆転合格できました!」など、塾に通えば成績が上がると宣伝しますし、「うちの私立中学校に入ればこんないい大学に入れます」と言わんとばかりに、学校はホームページで実績をアピールしています。受験の全体像を把握して、メディアに踊らされることなく、自分の子供を観察し冷静に判断することによって、塾に課金するタイミングや子供の進路を適切に決めることができます。子供の能力差を考える上では、「成績が上がらない小中高生 誰も教えてくれない真の原因」というブログが大変勉強になりました。
「国立大学に行ってくれたら、学費が私立大学よりも安くて助かる」と考える親は多いものですが、本当にそうでしょうか?たしかに自宅から通えるならいいですが、自宅から通えない場合、一人暮らしをする必要があるため、学費だけでなく一人暮らしの費用が重くのしかかります。大学受験は3科目の勉強でいい私立大学と6教目8科目勉強しなくてはいけない国立大学を目指すかによって、勉強する科目数や勉強量が大きく変わります。経済的な事情も含めたとしても、私は国立大学を目指した方がいい子供はごく少数と考えます。
子供の出生数が減り続ける中、都会の中学受験率は高い水準を記録しています。より偏差値の高い大学に入るには、中学受験をして中高一貫校に入るのと、高校受験をして高校に入る選択肢がありますが、総合的に判断した結果、私は多くの子供にとって高校受験の方が良いと考えています。
公立中学校から大学付属高校を受験することなく、大学受験をするルートについて考えてみました。高校受験についてはこちらの書籍が勉強になりました。中学受験するか迷っている方、高校受験について知りたい方におすすめです。
東京都内に住んでいて、中学受験することなく公立中学校から大学付属高校を高校受験するルートを考えてみました。大学付属には中学受験よりも高校受験の方が入りやすいといわれています。なお、自宅から通えるかどうか高校だけでなく、大学各学部の所在地も確認する必要があります。
医学部は難易度は高く、国立医学部は旧帝大理系から東大京大理系レベルの難易度、私立医学部は早慶理系レベルの難易度があります。私立医学部でも理科は2科目あるところがほとんどで、MARCH上位学部よりも難易度が高く狭き門です。
就活は、大学(大学院)を卒業したことで会社に就職するルートと、資格取得したことで会社に就職するルートに分けることができます。大学を卒業したことで就活する場合は、東大一科・早慶・MARCH・日東駒専・大東亜帝国など大学の難易度によって学歴フィルターがあります。